「栗原、無視ばっかりすんなや。お前がリアクションしてくれないと、場の空気がしらけるねん」

ニヤニヤと笑みを浮かべながら、不良生徒を僕をからかう。

「………」

僕は机に伏せたまま、身動きひとつしない。まるで、死人だ。

「栗原、起きろ!訊いてんのか?」

からかい口調から怒声に変わって、僕の細い二の腕をぎゅっとつかんだ。そしてそのまま、壁にドンッと押しつけた。

「クッ、そんなに僕のことをいじめて楽しいんですか?」

僕は歯を食いしばって、率直な疑問を目の前にいる不良生徒に投げかけた。

「楽しいから、いじめるんじゃないか。あたりまえのこと、訊いてんじゃないぞ」

最低な答えを言いながら、不良生徒は僕のみぞおちに拳をめり込ませた。

「かは!」

強く殴られたのと同時に呼吸が一気に苦しくなり、僕は腹部を抑えながらむせた。

「もう一度」

間髪入れずに不良生徒が、僕の腹部をまた殴った。

「ゲホ」

連続して腹部に強い痛みを感じて、僕は苦しそうに顔をゆがめた。