「はい、今日の朝食」

リビングにつながるドアを開けると、慌ただしく今朝の準備に追われている母親の見慣れたいつもの風景が広がっていた。

広くもなく狭くもない、十畳ほどのリビング。三人掛けの白いやわらかいソファーと、三人掛けの革張りのこげ茶色のソファー。それと、革張りのこげ茶色の回転椅子。そのリビングの中央にはちゃぶ台が配置されており、目の前には、三十五インチの液晶テレビが台の上に置かれている。

「おはよ」

僕はてきとうに朝のあいさつを済ました後、引き寄せられるように白いやわらかいソファーの上に腰を落とした。

ちゃぶ台の上にはおぼんが乗っており、その上に今日の朝食が置かれている。

おぼんの上に乗っていた今日の朝食のメニューは、表面がこんがりときつね色に焼けたトーストと、緑色のマグカップに注がれた冷たい牛乳だった。