外に出ると雲ひとつない青空が広がっており、新鮮な空気を感じる。お昼間の時間帯のせいなのか、街を歩いている人の数も多く見られた。

「栗原さんは、アルバイトや仕事はしないのですか?」

僕の通っている私立高校を出てバス停まで歩いて向かっている途中、彼女がなにげない口調で質問をしてきた。

「え、する予定はしてないけど」

僕は淡々とした口調で、美希にそう答えた。

「いいなぁ。それって仕事をしなくても、お金に余裕があるっていうことですよね」

「べつに、そういうことではないんだけど」

彼女が目をキラキラと輝かせながらこっちを見たので、僕は否定した。

ーーーーーーお金はない。ただ、学校の授業や人間関係だけでも疲れてしんどいのに、仕事をする体力が僕にはないのだ。

「でも、しんどくないの?学校終わって、仕事もするなんて?」

僕は彼女に視線を向けて、そう訊ねた。