「未来、早く準備しなさい」

なつかしく彼女の思い出に浸っていると、母親の声が聞こえた。

「わかった」

僕は白いうさぎのぬいぐるみとピンクのクマのぬいぐるみを置いて、スーツに着替えた。

「つい最近まで学生だったのに、未来がもう結婚だなんて……」

スーツ姿の僕を見て六年前を思い出したのか、母親がしみじみと言った。

「僕も、もう二十二歳だからな」

歳を重ねるとともに、自分の心も大きく成長した。

六年前は母親の話なんか耳も貸さなかったが、今はたわいのない会話もする。

「行ってらっしゃい」

「ああ、行ってくる」

母親に元気よく返事をした後、僕は外に出て走って結婚式に向かった。




ーーー『END』