「心配したのよ。未来の意識がずっと戻らないから、もしかしてっと思って私………」

僕が死んだと思ったのか、さらに母親が涙を流した。

僕のためにどれぐらい泣いてくれたのだろう、母親の顔は涙でグチャグチャになっていた。

「未来、まったくお前はどれだけ親に心配かけるつもりなんや」

口は怒っていた父親も、僕の意識が戻って安心したのか、かすかに瞳が潤んでいた。

「………」

僕は、あたりを見回した。

僕の周りには父親がいて、母親がいた。そして、病院の先生たち。でも、「美希さん」僕の呟いた彼女は、ここにはいなかった。

琥珀色の世界で美希さんからもらった白いうさぎのぬいぐるみとピンクのクマのぬいぐるみが、サイドテーブルの上に置かれていた。

「僕は、ずっと君のことが好きでした」

彼女が残したぬいぐるみを手に取って、僕はずっと言えなかった想いを口にした。