「どうして?どうして、美希さんだけ死ぬんだよ。どうしてなんだ………?」

なっとくできない僕は、そう言うしかなかった。

「これも、仕方がないこと」

美希さんは、笑ってそう言った。それが、悲しそうに見える。

「そんなことって………」

僕は、悲しかった。同時に、悔しかった。彼女のがんばりを誰よりも知ってるからこそ、その感情は大きい。

『未来、起きろ』

『未来、起きて。お願い』

「お父さん、お母さん」

僕は、ぼそりと呟いた。

「あっちの世界の声が聞こえたということは、もうすぐお別れだね」

「い、いやだ。僕、ずっとここにいたい」

僕は泣きながら美希さんを抱きしめようとしたが、もちろん触れることはできない。ただ、すり抜けるだけ。

「何度やっても、一緒だよ。私はもう、死んだんだから」

美希さんは、悲しく笑いながら言う。

「クソ」

僕は、その場に膝から崩れ堕ちた。瞳に溜まった涙が、ぽろぽろとその場にこぼれ落ちる。