「たしかに未来さんは飛び降り自殺をしました。ですが、死ねなかったの」

「死ねなかった………?」

美希さんにはっきりとそう言われ、僕の顔がだんだん蒼白になる。

美希さんとせっかく二人きりになれたのに、また別れてしまいそうな予感が湧き上がってくる。

「でも、この世界にいるっていうことは、僕は死んだってことだろ?」

僕は、自分の胸に指をさして言った。

「違うんだ、未来さんは死んでないよ。意識不明なだけで、病院のベッドで眠っているんです。その眠っている夢の中で、私と今、会ってるの」

「意識不明……夢の中………?」

僕の嫌な予感が、さらに大きくなる。

「はい。未来さんが飛び降りた後、その大きな音に気づいた両親が心配してすぐに救急車を呼んで病院まで運んだの。それで、未来さんは死なずに済んだの。助かったんだよ。よかったね」

「うそだ………」

僕は、美希さんの説明が信じられなかった。いや、信じたくなかった。両親が僕を助けてくれるなんて、信じられなかった。まだ、なにか僕は悪い夢を見てるんじゃないかそんな気持ちだった。