「未来さん」

「美希さん……」

視線を上げると、美希さんがこっちを見ていた。

美希さんの瞳から一筋の涙が、頬を伝って流れている。

「美希さん。これは一体……?」

僕は、震えた声で彼女に訊いた。

「未来さんは、死んでないんです」

「えっ!」

彼女が言った言葉を聞いて、僕の頭が真っ白になった。

「死んで………ない………?」

かすれた声が、僕の口から自然と出た。口ではそう言ったが、頭はその言葉を理解できていなかった。

「はい、生きてます」

美希さんは口元をゆるめて、はっきりと言った。

「ど、どうして?僕は、飛び降り自殺したはずだ。生きてるはずがないじゃないか?」

僕は、大きな声で彼女に質問した。

二人しかいない琥珀色の世界で、僕の叫び声が響く。