「それも仕方がないことで、謝るのは私じゃなかったよ」

笑みを浮かべながら、美希さんは首を左右に振った。

「それにそこに気づいたのなら、未来さんはもうだいじょうぶ」

そう言って頬にえくぼを作る、美希さん。

「でも、気づくのが遅かった。美希さんが言ってくれていたのに………」

今さら自分に両親のことを思い出し、目頭が熱くなった。

僕に文句ばっかり言っていた両親だが、もう会えないとわかるとさみしい気持ちもある。

「もし、生きていたら、両親のことを今度は大切にする?未来さん」

僕の顔を見つめて言う、美希さん。瞳の奥に溜まった彼女の涙が、儚く揺れている。

「そりゃ、もちろん」

僕は首を縦に振って、はっきりと言った。その言葉を聞いた、美希さんは、うれしそうに微笑んだ。