「美希さん、謝らないで。僕が君を救えなかったのは、変わりはないんだから。それに、僕は美希さんにもうひとつ謝らないといけないことがあるんだ」

「もうひとつ?」

「うん」

不思議そうな表情を浮かた彼女を見て、僕はうなずいた。

「なに?」

「僕が親なんかいてもいなくても一緒さぁって言ったこと覚えてる?」

「覚えてるよ」

美希さんは、短く答えた。

「美希さんの家庭環境もあったのに、親を大切にしてない発言をしてごめん」

僕は、頭を下げて謝った。

全部彼女に謝りたかったことを謝ると、僕の心の中にあったモヤモヤが解消されていく。

死んでから気づいたのは、僕と美希さんの家庭環境が真逆だったこと。それだから、彼女のことをこんなにも好きになったのかもしれない。