「未来さん」

かすかになつかしい声が、僕の耳に聞こえる。聞いたことがある、とてもきれいでなめらかな女性の声。

「………」

僕は、うっすらと目を開ける。僕のぼやけた視界の先に、見覚えのある、女性の姿が見えた。

濁りのない若干潤った黒目がちの瞳に、見とれるほど美しい繊細な雪のような真っ白な肌。胸まで伸びた黒髪のロングヘアーに、すらりとしたモデルのようなスタイル。整った薄いピンク色の唇に、白くてきれいな細い指。

「み、みきさん!」

僕のぼやけた視界に映っていたのは、美希さんだった。久しぶりに彼女の顔を見て、僕は泣きそうになった。

「こんなところまで私に会いに来るなんて、未来さんには驚きです」

美希さんは、目をすーっと細めて言った。

美希さんにそう言われて僕は、辺りを見回した。辺りは琥珀色の世界がどこまでも広がっており、美希さんと会えたということは、同時に僕は現世とは違うあの世にいるっていうことがわかる。