僕が学校に戻ったころには、西にオレンジ色の太陽がゆっくりと沈み始めていた。先ほどの降った雨でグラウンドに水たまりがところどころにできており、校庭の木の葉から冷たいしずくがポタポタと落ちている。

僕は校舎に入って、螺旋階段をかけ上がった。自分に教室のフロアまで登って、そのまま廊下を進む。

「裕也と友梨………?」

裕也と友梨の姿が、教室のドアガラスから見えた。友梨は顔をおおって泣いており、裕也はやさしく抱きしめていた。

ーーーーーーなにやってんだろう?

不思議に思った僕は、二人の会話をこっそり聞くことにした。見つからないようにその場にしゃがんで身を隠して、かすかに開いている教室のドアから二人の声が漏れている。

「うれしい。私、このときをずっと待ってたんだよ」

ぽろぽろと涙を流しながら、友梨がうれしそうな声を上げた。