「人の嫌がってることをネットに晒して、なにが楽しんだ?」

僕は、今の情報化社会に恐怖と不満を感じた。インターネットや携帯電話の普及した時代、昔よりは情報が収集しやすくなって便利な世の中になった。インスタグラム。ツイッター。フェイスブック。SNSを通してネット上で人とつながることもできる、便利な時代。しかし、便利すぎるゆえ、知られたくない個人情報までネットに書き込むできるようになった。

「その書き込みのせいで、美希さんは………」

僕は、悔しそうに下唇を噛んだ。

美希さんが自殺したからか、からかっていたクラスメイトも沈痛な面持ちをしていた。

「私、もっと早く美希の苦しみに気づいてあげれば………」

美希さんが自殺したことを耳にしたのか、となりのクラスの工藤友梨が顔をおおって泣いている。

「私。美希と一番の親友だったのに、美希の苦しみに気づけなかった。美希と親友だったのに………」

「友梨のせいじゃないさ。美希の苦しみに気づけなかった、俺も苦しんだ」

「でも。でも………」

友梨は、裕也の胸に顔を埋めて涙をぽろぽろと流す。友梨のこもった泣き声が聞こえる。

「未来。悪いが、今は友梨と二人だけにしてくれないか?」

瞳に涙がを浮かべた裕也にそう言われて、僕は「わかった」と言って教室を出た。

二人とも美希さんと仲がよかったせいだろう、彼女が自殺して亡くなったことが悲しいのだろう。