『3月3日《月》午前8時45分』



僕は朝礼ギリギリの時間帯に、教室に入った。

「あんなかわいい子が、風俗嬢だなんて」

「そんなに、金に困ってたん?」

「アイドルから一転、ものすごく落ちぶれたなぁ」

「最初から、アイドルではないけどな」

「まぁそれは言えてる」

「俺、佐伯のこと好きだったのに」

「うそつけ。お前、あんまり喋ったことがないやろ。てか、好きになる理由がないやろ。あんな、女」

夢で見た光景と、一緒の光景が教室に広がっていた。

「教室の生徒たちは自分のスマートフォンに視線を落とし、液晶画面を見ていた。

「美希さん………」

そう言って僕は、彼女の方に視線を向けた。

美希さんは顔を真っ赤にして、悔しそうに涙をぽろぽろ流していた。