『3月3日《月》午前7時42分』



「どうしてお母さん、起こしてくれなかったんだよ?

バタバタとらせん階段を駆け下り、僕は二階から一階のリビングに飛び込んだ。ちゃぶ台の上には今朝の朝食が置かれており、ソファの上には学校の制服が置かれていた。

「起こしたわよ。でも、起きなかったの」

母親が、怒った口調でそう言った。

食器を洗っている最中だったのか、手には洗剤が付いていた。

先週の金曜日、美希さんと切ない気持ちのまま別れた後、この土日の二日間、僕は彼女の死ぬ夢をずっと見ていた。また最近その夢を見始めたから、全然眠れてない感じがする。

「はぁ、クソ」

僕は自分にイライラし、今朝の朝食を慌てて口の中にした。

まだほんのりと温かい白いごはんが僕の口の中に入り、口を上下に動かすと同時に、白いつぶつぶした米が潰れる。そしてプラスチック製の赤いコップに注がれた、冷えたお茶をゴクゴクと飲んだ。