「私と紅葉、どっちがきれいですか?未来さん」

「えっ!」

とつぜん、美希さんがそんなことを僕に訊いた。もちろん冗談で聞いてるのだと思うが、僕の心臓が波打つ。

「それは………」

僕は彼女から視線をはずして、頬をかすかに赤くした。

「それは?」

彼女がもう一度訊いてきたので、僕は「美希さん」と、小さな声でそう言った。

「えっ!」

その瞬間、彼女の顔が紅葉のように赤くなったのがわかった。かすかに彼女の瞳が潤み、まっすぐ僕の目を見つめる。

刹那、その場に静寂が訪れた。彼女の息づかいが聞こえ、一秒ごとに高鳴る、自分の心臓の鼓動が聞こえる。

「未来さん、冗談が過ぎますよ」

そう言った彼女だったが、美希さんの顔はうれしそうだった。