*
『10月6日《金》午後6時38分』
彼女と二人だけの時間も、もう少しで終わろうとしていた。
僕のとなりに座っている彼女は、秋を彩る真っ赤な鴨川の紅葉に見とれている。
辺りが暗くなりつつある秋の夕暮れ時の時間帯に、燃えているように赤い紅葉が人々の心をうばう。時間帯のせいもあってか、鴨川には手を握りしめている若者のカップルが多い。
涼しい秋風に木々が揺れる音と、川の流れる音が僕の耳に聞こえる。それと、自分の心臓の鼓動がいつも以上に大きく聞こえる。
「あの、僕。君のことが………」
「きれいだね、紅葉」
となりにいた美希さんが、うっとりした顔で僕より先に口を開いた。
「そ、そうだね」
彼女にそう言われて、僕は紅葉の方に視線を向けた。
真っ赤に染まった紅葉が、僕の目に映る。紅葉はたしかにきれいと感じたが、美希さんに僕の想いをぶつけられなかった。
ーーーーーー告白しないと。本にも、告白は夜にしろって書いてあったじゃないか。
僕はデート本に書いてあったことを思い出し、自分に暗示をかける。
『10月6日《金》午後6時38分』
彼女と二人だけの時間も、もう少しで終わろうとしていた。
僕のとなりに座っている彼女は、秋を彩る真っ赤な鴨川の紅葉に見とれている。
辺りが暗くなりつつある秋の夕暮れ時の時間帯に、燃えているように赤い紅葉が人々の心をうばう。時間帯のせいもあってか、鴨川には手を握りしめている若者のカップルが多い。
涼しい秋風に木々が揺れる音と、川の流れる音が僕の耳に聞こえる。それと、自分の心臓の鼓動がいつも以上に大きく聞こえる。
「あの、僕。君のことが………」
「きれいだね、紅葉」
となりにいた美希さんが、うっとりした顔で僕より先に口を開いた。
「そ、そうだね」
彼女にそう言われて、僕は紅葉の方に視線を向けた。
真っ赤に染まった紅葉が、僕の目に映る。紅葉はたしかにきれいと感じたが、美希さんに僕の想いをぶつけられなかった。
ーーーーーー告白しないと。本にも、告白は夜にしろって書いてあったじゃないか。
僕はデート本に書いてあったことを思い出し、自分に暗示をかける。