「欲しいの?」

僕は、短くそう訊いた。

「うん」

コクリとうなずいて、美希さんはそう言った。

「じゃあ、買ってあげるよ」

「ほ、ほんとうですか?」

その言葉を聞いて、美希さんは目をキラキラ輝かせた。

「未来さん、ありがとう」

そう言って美希さんは、うれしそうに白いうさぎのぬいぐるみをカゴの中に入れた。

「いいよ、そんなの」

白いうさぎのぬいぐるみは五千八百円という決して安い値段ではなかったが、美希さんが笑ってよろこんでくれるのならそんなことは僕にはどうでもよかった。