「私、窓際がよかったなぁ」

「名簿順とか、マジないだろ。なんで、自由に選べないんだよ」

「ほんとそれ、テンション下がるわ。」

もう友だちができたのか、それとも昔からの友だちなのか、どうでもいいことで楽しそうに喋って盛り上がっている声が聞こえる。それと同時に、次から次へと同じクラスメイトの生徒が教室に入ってくる。時間が過ぎるにつれて、教室が人でいっぱいになる。

ーーーーーーガラガラ。

そのとき、教室のドアが開いた。その音に反応し、教室にいた生徒たちが一斉にドアの方に視線を向けた。

「きれいな人」

「えっ、めっちゃかわいいやん」

「名前、なんていうんやろ？」

「お前、顔赤くなり過ぎ」

その子が教室に入った途端、男子生徒がざわざわと話し始めた。

男子生徒は興奮気味に話しているが、女子生徒はなんだが不満そうだ。

「………」

僕は机に突っ伏したまま、いつのまにか寝ていた。

「………」

その子も黒板に書かれているのを見て、自分の席に座った。