『10月6日《金》午後12時45分』



予定よりも四十五分遅れて、僕は待ち合わせ場所の金閣寺に到着した。

「やっぱり、怒って帰ったのかな……?」

待ち合わせの場所の金閣寺には、美希さんの姿はなかった。

真っ赤に染まった金閣寺の紅葉に、外国人観光客がカメラを持って写真を撮っている。

「………」

切ない気持ちのまま家に帰ろうとすると、「女の子待たせるなんて最低ですよ、未来さん」と、やわらかい女性の声が僕の背後から聞こえた。

「美希さん」

振り返ると、僕の視界に秋服に身を包んだ美希さんの姿が見えた。

黄色のスカートを穿いており、長袖のグレーのTシャツを着ていた。

学校の制服も仕事の服装も美しいが、私服の彼女はまた一段と違って見えて美しかった。