『10月6日《金》午前10時5分』


「美希さんと、デートか………」

あれから美希さんにデートを誘われた日から四日が過ぎ、待ちに待った約束の日を迎えた。
空を見上げても秋を感じさせる、うろこ雲が流れている。

「いい天気になってよかった」

ほっと安心した僕は、美希さんとデートの前に家から近くの書店に立ち寄っていた。

「早くしないと、待ち合わせの場所の金閣寺に美希さんが来ちゃう」

彼女とのデートは午後からと予定していたが、その前に僕はオススメデート本を読んでいた。

朝が早いせいなのか、店内の客の数が少ない。店員が店内を歩き回り、棚の本をきれいに整理している。

「どれも全部、同じように見えるんだが………」

手にしたデート本に書いてある内容は、ほとんど一緒のことが書かれていた。

女性をほめろとか。デートは、女性の気持ちが優先とか。告白は、夜にしろとか。色々書かれていて胡散臭かったが、これが人生初デートの僕は、この書いてあることを信じた。