「……お礼です」

「えっ!」

彼女が一歩近づいて、僕にそんなことを言った。僕の心臓の鼓動が、さらに激しくなる。

「ど、どういうお礼?」

僕は、緊張した声で彼女に訊いた。

「私を心配してくれたお礼。それと、今も私の秘密を守ってくれている、お礼」

にっこりと微笑んでそう答えた彼女に、僕の頬がかすかに赤くなった。

「美希さん………」

まっすぐな瞳で見つめる彼女の潤んだ瞳が、僕の心音を大きくする。