「デ、デート………?」

脳内にグルグルと同じ言葉が回っている単語を、僕は口にした。

「そうです。嫌ですか、私のような女性とでは?」

「そ、そんなことない。僕は、君のことが………」

興奮して無意識に、僕は彼女の両肩に手を置いた。

「は、ごめん」

それに気づいた僕は、慌てて彼女から手を離した。

「全然、いいですよ。それよりも、未来さんは私になにを言いかけたんですか?」

かすかに細くて白い首をかたむけて、彼女は僕に視線を向けて訊いた。

久しぶりに見る彼女の澄んだ瞳が西に沈んでいく夕陽に反射し、燃えているように映る。

「え、それは………」

僕は、思わずさっき言いかけた言葉を頭の中で思い出した。

言いかけた言葉は、『君のことが好きだ!』なんだけれど、そんなことを言えない僕は、「な、なんで急にデートなんか誘ったの?」と、とっさに頭に浮かんだ言葉でうそをついた。

ーーーーーー心の中にある、自分の想いを目の前にいる彼女に伝えたい。

そんな臆病者の僕は、それを思うだけで心臓の鼓動が激しくなる。