空が朱に染まる。夏と違って陽が沈むのが早くなったせいか、秋の夕暮れがどこか寂しく感じる。気温も下がり、少し冷たい風も吹くようになった。

「明日からお休みだけど、美希さんはまた仕事なの?」

となりを歩いている、美希さんに視線を移して僕はなにげない口調でそう訊いた。

ほんとうはなんで休んでいたのか理由を聞きたかったけれど、もちろんそんなことは聞けるわけがなかった。

「今週、仕事は休むんだ」

僕の質問に、軽い口調で答えた美希さん。

「そうなんだ」

それを聞いた瞬間、うれしいような悲しいような、どう表現したらいいかわからないそんな複雑な気持ちになった。

ーーーーーーああ。また、美希さんと二人で会う時間がなくなるなぁ。

と、心の中でそんなことを思っていたら、「未来さん、今週の金曜日、私とデートしませんか?」

「えっ!」

まっすぐな瞳で僕の顔を見つめる、美希さん。思いもよらない美希さんの言葉に、僕の頭が真っ白になる。