「はい、今から席替えをします」

昼休みが終わって、担任の佐藤先生が教室に入って来た。午後から予定していたホームルームの授業が始まり、席替えを今からするらしい。

「未来、今度こそ窓際の席になるように神様に祈っとけよ。窓際だからな、窓際。それ以外は、今は祈るんじゃないぞ」

前の席に座っている裕也が、静かな声で僕にそんなことを言った。

「わ、わかってるよ」

口ではそう言った僕だが、心の中では全然違うことを祈っていた。

ーーーーーー美希さんと近くの席になれますように。

僕の願いは神様に届いたのかわからないが、ツクツクボウシの鳴き声が窓の外から非常にうるさく聞こえる。