「未来、おそすぎ。昼休み終わるぞ」

僕が教室に戻るころには、昼休みも終わりの時間にさしかかっていた。教室に戻ると、裕也が声をかけてきた。

「ご、ごめん」

僕は苦笑しながら、謝った。そして、美希さんの机の方に視線を向けた。

僕の数メートル視線の先に、美希さんのイスに勝手に座って花を咲かせている男性陣の姿が見えた。僕は、その男子生徒たちに近づいた。

「もうすぐ昼休み終わるし、自分たちの席に行ったら。そこは、違う人の席だろ」

僕は、軽く注意した。

「いいじゃん、未来。固いこと言うなよ」

笑いながら、ひとりの男子生徒に軽く流された。

「そうだぜ、未来。それに、こいつ全然学校に来てないじゃん。名前、なんだっけ?」

「知らない、覚えてない」

「そうだよな」

男子生徒たちが、そう言いながら楽しそうに話す。

「………」

ほんの数ヶ月前までいじめられていた僕が、学校生活を普通に送れている。でも、反対に美希さんの存在は、みんなの記憶から忘れられているように感じる。