「裕ちゃん」

私は、好きな人の名前を口にした。

それは、私と裕ちゃんが一緒の写っている思い出の写真だった。写真の中で裕ちゃんは笑っており、私は頬を赤くしていた。

「はぁ」

口から小さなため息を吐いて、私は卒業アルバムを両手でパタンと閉じた。

裕ちゃんのことは好きだが、彼に自分の秘密を知られて嫌われたくない。

「裕ちゃん。私の仕事知ったら、きっと嫌いになるだろうな………」

裕ちゃんに私の秘密をバレたことを想像したら、すごく泣きたくなった。

「でも、後少し。未来さんも私の秘密を守ってくれてるし、このままいけばきっとだいじょうぶ」

そう自分に強く言い聞かせて、あえて自分を元気づけた。