「だいじょうぶよ、お兄ちゃん。学校は秋ぐらいから行く予定だし、仕事も後少しぐらい続ける予定」

涙をぬぐって、私は明るく笑って見せた。

「そうか?でも、あまり無理すんなよ。じゃ俺、大学に行ってくるから」

心配そうな表情を浮かべたまま、兄は外に出かけた。

「行ってらっしゃい」

私は、兄の背に手を振って見送った。

兄が大学に出かけたと同時に、ひとりマンションの一室に取り残された、私。兄はあんなやさしいことを言っていたが、週三のバイトでは残りの学費も払うことは難しい。それを知ってる私は、「もう少し、がんばらないと」と、呟いた。

私は仏壇の前に飾ってある母親の遺影に手を合わせた後、思い出の中学生の卒業アルバムを手に取った。ペラペラとめくり、私の一番好きなページを開いた。