「暑い」

そう言いながら僕は全開に開けていた窓を両手で閉めて、ベッドに横たわった。そして、クーラーを付けた。

エアコンから冷たい風がすぐに出て、狭い寝室全体を冷やしてくれる。体に流れていた汗もすぐに止まり、涼しく感じる。

「美希さん、仕事やめたのかな?」

そう呟いた僕は、美希さんの言っていた言葉を頭の中で思い出す。

『後、少しなんです。兄の学費代一年払ったら、私もこの仕事をやめれるのです』

「美希さん………」

その言葉を思い出しただけで、僕の胸が痛くなる。

僕は近くにあったiPadを手に持って、そこから美希さんが働いている店を検索した。検索すると公式ホームページが液晶画面に映り、そのまま彼女の出勤予定を確認する。

「やっぱり仕事も、休みか」

確認したけれど、今後の美希さんの出勤予定は未定のままだった。今まで継続されていた日記も更新されておらず、僕の顔が心配そうになる。