「お前は、いいよなぁ」

僕は愛犬のビーグルの頭を右手で優しくなでた後、庭の門に向かって歩く。

緩やかなカーブに敷かれた石畳の道を少し歩くと、外に出る門が見える。

「行ってらっしゃい」

「行ってきます」

手を振って見送る母親の姿を見ながら、僕は庭の門をくぐって外に出た。外に出ると街の気温もすっかり心地よく感じ、春らしいポカポカ陽気に包まれていた。

澄んだ空を見上げると、青い海のような空がどこまでも広がっていた。白い雲も少なく、まぶしい太陽の光が降り注いでいる。

電線の上には小鳥が数匹乗っており、チュンチュン鳴いている。

閑静な住宅にある僕の家は大きく、それと同様に周囲にも大きな家が建ち並んでいる。