「………」

僕は目をパチパチと瞬きした後、キョロキョロと辺りを見回した。僕の視界に、若者から老人まで幅広い年齢層の姿が見える。

みんな、僕に視線を向けている。その顔は、どこか怪訝そうだった。

ーーーーーーまた、彼女の死ぬ夢なのか。

どうやら、僕はまた美希さんが死ぬ夢を見たらしい。

「はぁ、疲れる」

僕は疲れた顔をして、そう呟いた。そして、バスの中から外の景色を眺めた。

今日の天気は、僕の心と似てるような空模様だった。どんよりとした重い雲が広がっており、今にも雨が降りだしそうな天気。

テレビの天気予報では、午後から雨が降ると言っていた。

「こんな日でも、美希さんは仕事なのかなぁ?」

僕は、彼女のことを思って呟いた。

「………」

両親に怒られて以降、僕は店で彼女に会ってはいない。学校では会っていたが、店と違ってすらすら彼女とは話せない。それは、裕也と友梨がいるからだ。だから、彼女と会うことも久しぶりに感じる。