「それは………」

そう言われると、僕は口ごもる。

「未来、お金は盗んではいけないのよ。それは、犯罪なの。どうして、そんな悪い子になったの?」

しくしくと泣いている、母親に僕はそんなことを言われた。

「………」

僕は、さらに口ごもる。そして、なにも言えなくなる。

「未来、なんでお金なんか盗んだや?欲しかったら、言ったらいいやろ」

「うん、そうだね。ごめんなさい」

父親が正論を言ってるので、僕はそう言うしかない

「謝るっていうことは、わかってるやろ。じゃ、なんでお金を盗んだや?」

「………」

父親が同じ質問をしたけれど、僕は答えることはできなかった。

「はぁ。言えないなら、もういいわ。でも、金で作った人間関係なんか、すぐ壊れるぞ」

「壊れるって……?」

まくし立てるように言った父親の言葉を聞いて、僕は眉をひそめた。