「やさしくしないで」

私は、ボソッと聞こえないぐらい小さな声でつぶやいた。

彼にやさしくされればされるほど、タイムリープしにくくなる。彼にやさしくされればされるほど、私は好きになってしまう。

『だからデートを断ったぐらいで、うらぎったことにはならないよ』

「優太………」

その彼の一言を聞いて、私の涙腺が崩壊した。

私は目をつむって、首から下げているピンク色のハートのペンダントに触れようとしていた。

「優太」

ペンダントがキラリと光り始め、私の体を包み込み始めた。

『なに?』

優太の短い言葉が、私の耳に聞こえた。

発する光が強くなり、もうすぐ私はタイムリープしようとしていた。

ーーーーーーああ、もうすぐ戻ってしまんだぁ。

タイムリープすると、彼氏と彼女の関係がなかったことになってしまう。私は昨日、彼とデートした最高の一日を思い出した。思い出すと、私の瞳から流れたのは悲し涙だった。

「好きだよ、優太」

電話越しから自分の想いを彼に伝えた直後、発する光が私の体全身を包み込んだ。まるでその光は、彼と私を引き離すかのように。