『あ、あたりまえだろ。やさしくするのは。だって梢は、もう俺の彼女なんだからなぁ』

少しきんちょうした声色で、優太は私のことを〝彼女〟だと言った。

ーーーーーードクッ。

電話越しでもはっきりと伝わった、彼の言葉を聞いて私の鼓動がさらに激しくなる。

「彼女?」

私は、確かめるように訊いた。なぜか、その声はふるえていた。

『ああ。俺たち昨日、デートしたからな。彼氏と彼女だろ』

電話越しからまた、優太ははっきりと私のことを〝彼女〟だと言ってくれた。

彼の表情はわからなかったが、きっと今の私のように頬を赤くしていただろう。

「優太」

彼を呼び捨てにしたのと同時に、私の瞳から涙が流れた。

彼女と言ってもらえて、うれしくて流した涙なのか。タイムリープしてしまうと、この彼との関係がなかったことになるから悲しくて流した涙なのか。私はわからないまま、ただひたすら涙を流していた。