ーーーーーーブルブル!ブルブル!ブルブル!

『もしもし、梢?』

三回コールが鳴った後、優太の声が私の耳に届いた。

電話越しでも伝わる、優太のやさしい声が私は好きだ。

『どうしたの、電話して?』

「べつに。ただ、優太の声が聞きたかっただけ。ごめんね。昨日、会ったのに」

私は、軽い口調で謝った。

『いや、いいよ』

優太は、短くそう答えた。

「昨日は、ありがとうね。私も、優太とデート楽しかったよ」

私は、小さな声で優太にお礼を言った。

優太とデートした思い出が、私の頭に思い浮かぶ。

『そんなの俺も楽しかったし、全然いいよ。それより梢、元気ねぇのか?さっきから、声が小さいぞ』

「え、そうかな?」

『そうだよ。梢、大丈夫か?』

元気のない私の声を聞いて、優太が心配そうに聞いた。

ーーーーーーそんなやさしい優太だから、私は好きになったんだよ。

「………好きだよ」

私は、心の中で思ったことをボソッと口にした。

『えっ!』

聞き取れなかったのか、優太はもう一度私に訊いた。

「私を心配してくれる、やさしい優太が好きだよ」

私は、はっきりと自分の想いを彼にぶつけた。

頬が熱くなり、心臓の鼓動が激しくなる。