「ご、ごめん。優太」

私は、すぐに謝った。

「いや、いいんだ。梢は知らないことだし、気にすることもないよ」

そう言って優太は、首を左右に振って悲しく笑った。

窓から差し込む月の光が、優太の悲しく笑う顔をてらす。それを目にすると、私まで泣きたくなった。

「ごめんな、梢。俺のわがままばっかり聞いてくれて」

そう言って優太は、私の方に歩み寄ってやさしく抱きしめた。

そこでまた、彼の温かい体温を感じた。

「わがままじゃないよ、優太。私も、優太と一緒にいたいから」

私は本音を口にして、優太の背中に白い手を回して彼のことをぎゅっと抱きしめた。

頬が熱くなるのと同時に、瞳からひとすじの涙が頬を伝って流れた。

「梢、ありがとう」

そう言って優太は、私の唇と自分の唇を重ねた。

「ウッ」

優太の突然な行動に、私の頭の中が真っ白になった。

優太のやわらかい唇が、グロスを塗った私のうるおいのある唇に伝わる。キスの時間はたった数秒だったけれど、私はうれしかった。