「おまたせ、優太」

数分後。私は、作った料理をテーブルの上に運んだ。

二人分のからあげと、おしゃれに小皿に盛り付けたきゅうりのお漬け物。

「おいしそうだね」

私の作った料理を見て、優太はそう言った。そしてからあげを右手で一個つまんで、口に入れた。

「どう?」

私は、不安そうに訊いた。

「うまい!めっちゃおいしいよ、梢」

「ほんと、よかったぁ」

私の作った料理が優太に〝おいしい〟と言ってもらえただけでうれしくなる。

今日初めて彼を家の中に入れたが、なんだかもう私は同棲してる気分だった。

「うまい!」

優太は冷えたビールを飲みながら、私の作ったからあげをおいしそうに食べている。

「うん、そうだね」

そう言って私も、冷えた缶ビールをゴクリと飲んだ。

ビール特有のほのかな苦味が口の中全体に広がり、私の喉を通って胃に流れる。

ーーーーーー優太、気づいてよ。私、いつもより女の子らしいでしょ。

今朝がんばって化粧や髪型を変えてみたが、まだ優太に気づいてもらえず私は少し悲しかった。

ーーーーーーやっぱり、気づいてもらえないのかな?

そう思った私だったが、「きれいだよ」と、ボソリと優太が小さな声でつぶやいた。

その優太の今の表情は、はずかしそうに顔を赤くしていた。