「誰からだろう?」

そう思った私は、LINEの新着メッセージを目で確認した。

【夏休みだし、今日梢とデートしたい。優太】

「えっ!」

ーーーーーードクッ。

LINEの送信者は、私の好きな山田優太からだった。優太から送られてきたLINEの文面は短かったが、私の心臓の鼓動がドクドクと激し音を立てる。

夏休み入ってからも私たちはLINEでやり取りをしていたが、彼とは二週間ぐらい会っていなかった。

「デート………」

私の口から、自然ときんちょうした声が漏れた。

楽しみにしていた優太と約束のデートの日を迎えると、私の頬が一瞬で熱くなった。

【いいよ 、優太。私も、優太とデートしたい。待ち合わせ場所は、どこにするの?】

慣れた手つきでスマートフォンを操作し、私はLINEを優太に送った。

ーーーーーープルプル!

すぐさま、LINEの返信が彼から送られてきた。

【待ち合わせ場所は、京都駅。昼頃、京都駅で落ち合って、梢と一緒に食事したい】

【わかった、いいよ 】

私は彼から送られてきたLINEの文面に目を通したあと、すぐに返信した。そして朝食を食べて、私は出かける準備をした。

女の子らしくナチュラルメイクをし、薄い唇にグロスを塗った。長い髪の毛はいつものストレートヘアではなく、おしゃれにウェブをかけた。

「気づいてくれるよね?」

私は、鏡に映っている自分に尋ねた。

鏡に映っている自分は、はずかしそうに顔を赤くしている。

私はショルダーバッグを手に持って、外に出かけた。外に出かけると、うだるような暑さが京都の街を支配していた。

青ガラスのように澄み切った空には雲ひとつなく、降り注ぐ太陽の陽射しがまぶしい。四方八方から聞こえる、せみの鳴き声。正午に近づくにつれ、ぐんぐん上がる街の気温。

京都の街を歩く人々の姿も、夏服に変わっていた。涼しげなノースリブのワンピースを着た女性や、無地の白Tシャツを着た男性。

私は額から流れ出した汗を手のこうでぬぐって、待ち合わせの場所の京都駅に向かった。