「梢。私は、優太のやさしいところに惚れたんだ」

「えっ!」

詩織は、はずかしそうに小さな声で私に言った。その言葉を耳にした私は、驚きの声が口から漏れた。

ーーーーーー同じだ。

詩織と好きな人が同じなうえに、好きになるポイントまで彼女と一緒だった。

私は、なんだか健気に思えた。

「こんな話するのは、友人の詩織だけだからね」

友人だからか、詩織はまっすぐ私を見つめて言った。

「………おうえんしないとね」

私は、ボソッとつぶやいた。

「え、なにを?」

詩織は、首をかしげて聞き返した。

「友人だから詩織のその恋、私はしっかりおうえんしないとね」

明るい口調で言った私だったが、その反対にまた自分が彼女にうそをついたことにどこか悲しくなった。

ーーーーーーほんとうは、おうえんなんかしたくない。私も、優太のことが好きなんだから。

「ありがとう、梢。私、がんばるね」

そう言って詩織は、私の手をぎゅっと握った。

「が、がんばってね」

私は、かすれた声でそう言った。

今の私はタイムリープする前よりたしかに幸せだったが、友人の詩織にうそをついてる罪悪感が心を苦しめていた。