「またタイムリープして、これよりも不幸な人生だったら、またタイムリープしてお前は逃げないか?」

「逃げる……?」

私の口から、かすれた声が漏れた。

「そうだ。タイムリープは、逃げなんだ。今の人生から、逃げてるんだ。だからお前は幸せに気づかず、不幸ばっかり気がつくんだ」

私がタイムリープしてることがまちがってるかのように、神様は指摘する。

「うるさい!友人が死んで、好きな人に別れを告げられた今の私に、どこに幸せがあるって言うの?」

私は泣きながら、怒り声を上げた。

「そうじゃない。このままタイムリープすると、また違った形で辛いことや悲しいことがお前をおそうぞ。言ったよな、さっき。どんな人生でも、一回は辛いことや悲しいことがあるって」

「聞いたよ、それ。だから、なに?これより、辛いことや悲しいことなんて怒らないよ。タイムリープしたら、今度こそ私は幸せになれるよ」

そう言いながら私は、首に下げていたハートのネックレスにふれた。

ハートのネックレスが光り始め、私の体全身を包み込んだ。その光の中で、過去の映像が映し出された。

『むりだよ、清水。じゃ』

『梢、好きだった』

『詩織が、トラックに轢かれて死んだ』

『私から、好きな人をうばうなんてひどいよ!梢なんて、もう友だちでもなんでもないから』

『梢、大好きだ』

私が経験した過去の人生が映像化され、光の中にある時計がグルグルと反時計回りに回る。そして、光は消えた。