ーーーーーー今から、一カ月前ーーーーー。

「やっと京都で住める場所も見つけたし、今から一人暮らしか」

午後五時十五分。

五月の中頃のこの時間帯の空は、西に太陽が沈み始めてきれいな夕日が京都の街を照らしていた。

「今日から、風俗で働くのか。だいじょうぶかな、私」

私の通っている大学の講義は午前中で終了だったため、午後から風俗店で働くことになっていた。しかも今日が入店初日だということで、きんちょうしまくりな私。インターネットから風俗の求人サイトを調べてこの業界ではけっこう大手なところに採用してもらったが、それが逆に私の不安と緊張を高めさせた。

「一カ月のアパートの家賃と食事代を稼がないといけないから、がんばるか」

そう言って私はスマートフォンで道を調べながら、店に向かった。