「ねぇ、詩織」

「なに?」

私のトーンを落とした声を聞いて、詩織が首をかしげた。

「優太君とは………どうだったの?」

私は熟れたトマトのように顔を赤くして、はずかしそうに詩織に質問した。

彼のことを思うだけで、私の全身が熱くなる。

「めちゃくちゃ楽しかったよ、梢」

私とは反対に、詩織はトーンを上げて答えた。

詩織の楽しうな笑顔を見ると、私は切なくなる。

「いいなぁ」

開いた口から漏れたのは、私の本音だった。

「梢、やっぱり後悔してるんでしょ?」

詩織が、スーッと目を細くて私を見て言った。

「うん」

後悔してないと言うと嘘になるので、私はコクリとうなずいた。

「だいじょうぶだよ、梢。今回は私たちと都合が合わなかっただけで、また飲みに行ける日があるから」

やさしい笑みを浮かべて、詩織は私をなぐさめた。

「うん」

詩織のなぐさめたの言葉を聞いて、沈んでいた私の気持ちが少しだけ明るくなった。