「でも、ほんとうに捕まってよかったよ。私は風俗嬢じゃないから殺される危険性はなかったけど、同じ女性だから、怖かったよ」

そう言いながら詩織は、ほっと安心したようにため息を吐いた。

「その気持ち、すごくわかるよ。詩織」

「でしょ、梢。私、梢より、きれいだから」

詩織はいたずらっぽく笑って、私をからかう。

「それ、私がブスってこと?」

私は頬をふくらまして、不満そうに詩織をにらんだ。

「冗談よ、冗談。詩織、そんなに怒らないでよ。私たち、友だちでしょ」

私の肩をポンポンと軽く叩いて、詩織が軽い口調で言った。

「はぁ〜。それより詩織、私の首元になにか見える?」

そう言いながら私は、自分の首元を指さした。

「べつに、なにも見えないけど」

「そう」

私は、短く返事をした。

ーーーーーー神様の言ったとおり、ほんとうに自分以外の人にはハートのペンダントは見えないらしい。

私は、ハートのペンダントに視線を落としてそう思った。