私が借りている京都の伏見区のアパートに着いたのは,夜中の一時ぐらいだった。

夜空には弓のような細い月が浮かんでおり,真っ暗な京都の街を淡い光で照らしている。

「とりあえず君は、アパート の中に入って待機していてくれ。私たちはアパート の外で待機して、不審者が入ったら突入する」

「はい」

私は、警官の指示に従ってアパート の中に入った。

夜中のせいもあってか、警官の人数は多かった。

「私、おまわりさんに助けてもらえるよね……?」

私は本来ここで死ぬことになっているが、警官に助けてもらえることを信じた。

ーーーーーーガチャリ。

そのとき、玄関の扉が開く音が聞こえた。

私は、玄関の方に視線を移した。視線を移した先に、斎藤の姿が私の目に映った。

ーーーーーー来た。

その瞬間、ドクンと私の心臓が一回大きく跳ねた。

「好きだよ、千春ちゃん」

私を見て、彼の第一声がその言葉だった。

この彼の一方的な告白も,私は覚えがあった。