「つい最近、君のような若い女性が同じようなことを言って交番に訪れたんだ。『井上に殺されるかもしれないから、助けて』っと言ってね」

回転イスに座って深刻そうな表情を浮かべる、男性警官。

ーーーーーー結衣。

その瞬間、私の脳裏に結衣の姿が浮かび上がった。

「確か、〝松本結衣〟とかいう女性だった。でも、その女性は風俗の仕事をしていたため、しっかりと彼女に協力しなかった。それに彼女が言っていた、『二十五年前の風俗嬢を殺害した犯人と同一人物かもしれないんです』っていう言葉も、そのときは信じられなかった」

男性警官は深刻そうな表情のまま、低い声で言った。

「………」

私は無言のまま、男性警官の話を聞く。

「でも、言っていたとおり、彼女は殺害された」

彼女が殺害されたことを思い出しながら,男性警官が声を震わせながら言った。

「結衣………」

私の口から,自然と涙混じりの声が漏れた。

ーーーーーー結衣があのときほんとうに恐怖を感じていたと思うと,悲しみの感情と救ってあげれなかった自分への怒りが押し寄せてきた。