「世の中には、仕方がないこともある。それに、お前には大事な人がいるだろ」

「えっ!」

神様のはっきりした口調を聞いて、私は目を丸くして驚いた。

「いるだろ、好きな人」

神様が、軽い口調で私に言った。それと同時に、私の頭の中に好きな彼の姿が思い浮かんだ。

「優太………」

開いた口から、私は好きな人の名前を口にしていた。

「もう一度、大好きな人と会いたいんだろ」

「うん」

私は、泣きながら細い首を縦に振った。

ーーーーーー会いたい。優太に会いたい。

私は、本気でそう思った。

「じゃ、戻れ」

「うん」

私は手の甲で涙をぬぐって、ハートのペンダントに触れた。そして、願った。

そのとき、ハートのペンダントがまぶしく光り出した。その光が私の体全身を包み込み、過去の映像とともに逆再生する。

『千春、一緒に幸せになろう』

『誰か、助けて……』

私が経験した過去の映像とともに、光の中にある時計がグルグル反時計回りに回る。そして、光は消えた。