「優太……」

午後八時十分に彼からLINEが送られており、私はすぐさまLINEを返信しようとした。

ーーーーーーガチャリ。

そのとき、アパートの玄関のドアが開いた。

「ん!」

私は、玄関のドアの方に視線を向けた。

開いた玄関のドアの隙間から、ぬっと黒い人の影が現れた。

「えっ!」

目をかっと見開いた私の視線の先に、斎藤さんの姿が見えた。

「好きだよ、千春ちゃん」

私を見て、彼の第一声がその言葉だった。

「斎藤さん………?」

私は立ち上がり、かすれた声を出した。彼の左腕を見ると、三センチぐらいの切り傷があった。

「えっ!」

私は目を丸くして驚き、恐る恐る一歩二歩と後ろに下がった。

お店で会ったときは気づかなかったが、さっき優太から送られたLINEを見て、私は今気づいた。

ーーーーーー【なんか被害者を殺害するときに取っ組み合いになって、左腕をケガしたらしいんだ。たいしたケガではないらしんだけど、三センチぐらいの切り傷が左腕に残っている奴が犯人らしいんだ】

「嘘でしょ………」

私は優太から送られたLINEの文面を思い出し、ふるえた声を口から出した。

ーーーーーー十五年前の殺人者と同一人物!

この瞬間、私は電子掲示板サイトに書かれていたことがほんとうだと思った。