「神様」

私の人生を変えた、神様を口にして呼んだ。

「なんだ?」

「私が死んだとき、優太や詩織がいる天国に連れて行ってくれる?」

「悪いことをしなかったり、自殺しなかったらな」

神様は、あっさりと私にそう言った。

「そこは、うそでも〝天国にいける〟って言ってくれないんだね」

「ああ、うそはつけない」

「そっか」

私は、手の甲で涙をぬぐった。

もう十分、泣いた。そして、自分は生きなくてはならないこともわかった。

「もう、時間だ」

神様がそう言うと、話の体が光に包まれた。

ーーーーーーああ、もう優太や詩織たちと別れないといけないのか。

時間の流れが、このとき初めて残酷だと思った。もっと、一緒にいたいのに。ずっと、一緒にいたいのに。優太と詩織と離れないといけない。