「梢、それはむりだ」

優太が、首をぶるぶると振って答えた。

「どうして?」

私は、悲しそうな声で訊いた。

「自ら命を絶った者は、天国にはいけない。自ら命を絶った者がいく場所は、〝地獄〟だ」

そのとき、神さまが私たちの会話に割って入った。

「えっ!」

私を驚きの声を上げて、神さまの方に視線を移した。

「自ら命を絶ったら、お前は地獄にいってしまう。天国にいく優太や詩織たちと会えない」

神さまが、落ち着いた声で私にそう説明した。

「そうなんだ、梢」

そう言った優太の瞳に、哀しい色が浮かび上がった。

「そんな‥‥‥」

自殺したら優太と同じ天国にいけると思っていたが、地獄だったことを初めて知って私の声がふるえた。

「だから、梢は生きるしかないんだ。幸せになるしかないんだ」

優太がさみしそうに、〝生きるしかない〟と言った。

二人の命をうばった私は、この先幸せに生きることができるのだろうか?