「約束守ってくれよ、梢」

「むり。二人の命をうばって、幸せになれない。そんな約束、私は守れないよ」

私は、子供のように泣きじゃくった。

「梢、お前は幸せに生きてもいいんだ。お前は、幸せに生きる資格があるんだ」

「ない!私にそんな資格なんてないよ」

私は、即答した。

「梢」

「なにも言わないで、優太。私、すぐに会いに行くから。優太や詩織がいるところに、私もすぐに会いに行くから。そしたらまた、三人でなかよくしゃべれるよ」

それは、〝自殺〟するという意味だった。

私が自ら命を絶ったら、また優太や詩織に会える。

「私に、幸せになる資格なんてないよ。優太や詩織の命をうばって、私だけ幸せに生きる資格なんてないよ」

ぶるぶるとと首を振って、私は涙混じりの声でそう言った。

死後の世界で優太や詩織たちにまた会えることを想像したら、〝自殺〟することなんて全然怖くなかった。